ロマンはどこだ

ビジネスや社会のフレームを考えるのが好きですが、きっとそういう話は一切書かずに、ふざけたことばかり言っているのだと思います。

それでも僕はついていると思う

最近チョンボが多い。

 

色々と考えることが増えてきたせいなのかもしれない。

 

サラリーマンだった頃は自由な時間がほとんどなかった代わりに、考えることもそれほど多くなかったが、今は全く逆の生活。
自由な時間が腐るほどある分、考えることもそれなりに腐るほどある。

 

朝から温泉に行っても、昼からカラオケに行っても、夜気分がのったから徹夜で仕事を続けて次の日に一生寝ていても、誰も何も文句は言わない。
昼飯をいつ誰とどこに食べに行こうが構わないし、煩わしい飲み会のセッティングも一発芸もクリスマス会のプレゼントの準備もない。
いつでも休めるし、極端な話、明日からフライアウェイしますと言ってもオッケーだ。

 

けれどもそれは、その多すぎる選択肢の一つ一つを自分で消化していかなければならないということでもある。

 

今日の相場を気にしながら、目の前のプログラムが吐くエラーに腹を立て直しつつ、取引先とアポの調整をし、来たるべきスキー旅行の場所と日程を調べ、仲間のレポートのレビューをし、決算直前の節税対策と来期のキャッシュフローに頭を悩ませ、名刺のレイアウトを微調整し、「今日ランチいかない?」という友人のラインに先回りして返答すべく店を探す。

すると、何か大事なことをすっ飛ばす。


「あ、やべ歯医者の予約が」

「え、今月の電気代払ってたっけ」

「うぉー、椎名林檎のチケット先行予約の期限が、、」

「ぎゃーあ;うぇいcyvwろcqwfyゔくぇb」

 

それでもやっぱりストレスフリーに勝るものはないと思っていて、何かを管理される生活に戻るつもりは更々ないが、シングルタスク人間にとっては少々不向きなライフスタイルなのかもしれない。
就活の時以来、手帳など持ったことがなかったが、さすがに今はスマホのスケジューラを駆使して、何とか日々をやり抜いている。

 

ただ、それでも色々ミスる。

 

薬局に行って、買いたい物リストを完全に網羅したと思ったのも束の間、買ったものをレジに忘れる。
電車で折りたたみ傘を綺麗に畳むことに集中し、出来栄えに満足してそのまま隣の席に置き忘れる。
TSUTAYAでセルフレジに挑戦し、マニュアルの手順を必死にこなすことに気が行き、財布を忘れる。
レンタカーの返却時間ギリギリを攻めきった満足感に浸り、定期入れを置きっぱなしにする。
離島で朝一番のフェリーに乗るために余裕をもって早起きし、寝起きで触ったMacを忘れる(それも恐ろしく離島だ)。
中国やカンボジアといった「物をなくすと終わりな国」で、注意深く金庫にしまったパスポートをそのまま置いてくる。

 

このくらいならまだマシだが、最近一番ひどかったのは、香港から日本への飛行機を乗り過ごしたことだ。


のんびり観光した後に「さあ市内でクッキーでも買って帰ろう」と乗った電車で、1時間後に飛行機が離陸することを知る。
慌てて駅のチェックインカウンターに行き(香港は空港直結の駅でチェクインができる)、90分前に締め切りだと知りながらもとにかくゴネてみようと乗り込んだ結果、、、

そもそも名前が違うと言われる。

パスポート名の◯◯SHIMAであるはずが、予約名は◯◯SHUMAになっている。


しゅまー。。。


中国語圏に滞在しすぎた結果、名前まで中国語化してしまったとでもいうのだろうか。

 

さすがに自分でも呆れ果て、大人しく夜中の3時発の航空券を再手配した。

 

付き合いの浅い人からは何事も計画的でキッチリしているA型だと言われることが多いが、とんでもない。
引きとツキだけで生きているメチャメチャテキトーなO型人間である。

 

ただ、買い物袋も傘も財布も定期入れもMacも紆余曲折を経て最終的には手元に返ってくるし、パスポートも無事に回収できた。
夜中にタイの国境でバスに捨てて行かれても、しれっと違うバスがやって来て事なきを得る。
北京で出国までに3時間かかる大行列に遭遇しても、目当てのマッサージ屋が見つからず珍しく早めに空港へ向かったことが幸いし、ギリギリクリアする。

香港で飛行機を逃しても、年末にたまたまラウンジ使い放題の権利をゲットしていたのが功を奏し、シャワーも食事も確保できた上に、静かで居心地の良い環境でアホみたいに仕事が捗る。

結局、世の中プラスとマイナスは調和しており、大抵のことは何とかなるのである。
だったら人生先が見えてしまうよりも、トラブル続きでいつ何が起こるのか分からない方が楽しそうではないか。
定められた計画を丁寧かつ慎重に遂行するよりも、少々外れても大丈夫だという根拠のない自信の元、ノリと度胸だけで突き進んでいった方が、ストレスが少ないし、得るものも大きいのではないか。

 

そんなことを考えながら、毎度のように家に置き忘れて買う羽目になった何個目かの変換プラグを片手に、香港に置き忘れたtype-C USBケーブルに思いを馳せ、最近数の増えてきたハードウェアたちへの電力の供給不足に身悶えして苦しんでいる。